積読,豆乳,サバイバル

読んだ本と考えたことを繋ぐ場所

光回線,何を選んだらええねん問題

所用で光回線の契約先を探しているんだけどまあ全ての案内がわかりにくくてびっくり仰天している. クローズな業界ではこういう阿漕な商売がまかり通って商品の選択において消費者のMPをゴリゴリ削ってくる感じが大変不愉快だ.

すごくざっくりいうと「月額500円」といえばいいものをわざわざ周りくどく「月額1000円,でもあーしてこーすると500円割引で実質500円!」みたいな情報量の上乗せが何段階にもわたって展開される.しかも回線会社,プロバイダ会社ごとの特性も絡んで簡単には比較できないようになっている.あーMPが足りない.

四苦八苦して気づいたけど光回線を選ぶときは以下の点が各会社でどうなっているか整理すると意思決定しやすいことに気づいたのでメモっておく.

  • 利用開始時の手数料,回線工事代金
  • 一月あたりの回線利用料
  • ルータのレンタルが利用料に含まれているかどうか
  • 入会キャンペーンなどで総額いくらのキャッシュバックがあるか
  • その他オプションなどの有無

特定のキャリアと組み合わせると基本料が安くなったり,電話回線や映像サービスの加入などでいろいろ変動があるらしいがそこは全部最後にまとめてこう. 「快適にインターネットをできるだけ低コストで使いたい」というニーズであればこれくらいの整理である程度判別できると思う.

2020上期に読んだ本8冊を紹介

コロナ禍はいつも以上に本と向き合う時間をくれた.濃淡あれど100冊弱には目を通したんじゃないんだろうか. というわけで,2020年上期に読んで良かったなーと思う本を紹介していく.

ウォールデン 森の生活

近代から現代に至るまでの産業の工業化,情報化は人を「お金を稼ぐ労働力」であるという一面を強調し, 人間性や心のゆとり,あと一部の人除いて本来得られるはずの経済的余裕すら奪っている.

この状況に声を上げ反資本主義,反商業主義,反お金至上主義的な考えやライフスタイルを実践する人がたくさんいる. ミニマリストと呼ばれる人や,「年収XX万だけど東京で豊かに暮らす」,「脱サラして田舎で自給自足生活」みたいな本を出している人がこれにあてはまる.

しかし,19世期半ば,工業科の黎明期であろう150年以上も前にこれに気づき,慎しくも満たされ,自然や己と向き合う時間を何よりも大切にした人がいた.

そんな人,ヘンリーDソローがその実践記として書いた本が「ウォールデン 森の生活」である. ソローの行動からは現代の資本主義社会でサバイバルをする際にも有用な価値観や行動が学べる. 人間の悩みは100年以上前から変わらないんだなと気づく.

・お金,労働,時間に対する価値観

・森や池に生息する動植物の観察,ふれあい.

・食べることや自然に触れることへの感謝,驚嘆.

・他人ではなく自分自身が満足する生き方,意思決定.(見栄を張ることの虚無さ)

労働力を売って日銭を稼ぐという生活に疑問を抱いている人は 是非手にとってみたらどうだろうか.

ちなみに英語版ではあるが,AmazonKindleで無料購読もできる.気になる人は検索して探してみてほしい.

Walden: Original Text

Walden: Original Text

世にも奇妙な医療の世界史

昔の医療行為は人間に対する動物実験か?と思えるほど杜撰で適当なものがたくさんあった. そんなエピソードが面白おかしく紹介されている.

ちょっとオツムが弱い?じゃあ眼球あたりから器具を入れて脳をほじくっちゃえ.(脳がイカれて死ぬ) 体調が良くない?じゃあ麻薬でも飲んでおけ.水銀でも飲んでおけ!という話が延々と続く.(麻薬中毒,水銀中毒患者の出来上がり)

安全な医療行為をするためには人間の身体構造や器官の特徴,生化学的メカニズム等々の知見を積み重ねた上で 統計的に信頼ができる厳密な臨床実験をしないといけない. 遥か昔から医療に対する啓蒙意識が高かったわけでもないし,それを検証したり実験できる環境もなかったから致し方ないが, 医者は人を殺すことが仕事だったんじゃないかというノリで医療行為が行われている.

今の医療の進展具合に感謝できる本.話のネタにどうぞ.

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

ここ数年で爆発的に売れている本.最近ようやく読んだ. ホモサピエンスが他のサピエンスを退けて種の頂点として繁栄し,さらには現代で地球全体を支配するに至ったのは何故なのかという話が展開される.

それには3つの革命がターニングポイントだったと紹介されている. 虚構を思い描き,仲間同士で共有することで団結をする認知革命. 食糧供給のあり方を変え,コミュニティ,軍隊,官僚組織,文字,貨幣などの誕生にも貢献した農業革命. 地球をぶっ壊すほどの力が制御できるようになった科学革命.

この本で有名なエピソードの一つに「農業革命において,人類は小麦を家畜化したのではなく,小麦が人類を家畜化した」というエピソードがあるが, 私が一番心に残ったのは最初の認知革命における「あらゆるものは虚構である」という話だ.

国家,貨幣,株式会社.法律といった,現代で当たり前になっている概念はいずれも実体が存在せず,多くの人の頭の中に鎮座している概念だ. それが人の集団を特定の行動に導いたりある価値観を抱かせたりする.本質的には神の存在や宗教と全く変わらない.

今自分の行動を縛っている概念や,困難な状況があってもそれは虚構に縛られているだけなのでは?という 視点があるとそれから解放されたり新しい切り口で解釈ができるようになるんじゃないかなと思う.

「幸せをお金で買う」5つの授業

・経験を買う

・ご褒美にする

・先に払ってあとで消費する

・時間を買う

・他人に投資をする

というお金の使い方をすると幸せになれるとという本. 物質的豊かさを追い求めても「飽きる」という人間の性質によって絶対いつか幸福をもたらさなくなると断言しているところが気持ちいい. ミニマリストの本の主張と通じるところがあるが,この本は学者が実験を通して検証しているという点で裏付けがあるのが良い.

 会社四季報 2020年3集 夏版

会社四季報 2020年 3集 夏号

会社四季報 2020年 3集 夏号

株式投資をする人が良く読んでいる本.初めて手にとった. 投資をする人やこれから就職活動を控えている人(自分の労働力の投資先を決める人)はもちろんだが, ニュースや街中で会社名を見かけたときにぱっと調べられる辞書的な用途があるという点でお勧めしたい.

世界の各被災地で起きたこと

世界の核被災地で起きたこと

世界の核被災地で起きたこと

「へー!」の連続. 核兵器に関する言及ってどうしても戦争の悲惨さや人体への影響という観点で語られがちだけど,この本は自然環境への影響,核開発隆盛の時代における核の管理の杜撰さ,人々の認識の変化,核が流行に与えた影響など世界中にある核の舞台とそこで起きたことをまとめている.

核の舞台はせいぜいチェルノブイリスリーマイル島,日本の原子力発電所の数々しか知らなかった自分にとっては,「各施設って世界中でこんなにあるの?」という驚きもあったし,当時の人々の認識や行動が現代とは全く異なる様子にも驚かされる.(核実験のキノコ雲を鑑賞することが一般市民の流行りだった.水着のビキニは核実験で海底にぽっかり穴を開けた「ビキニ鑑賞」が語源らしい等)

また,筆者が放射”脳”の愚かさをバッサリ指摘していたり,「核によって人がその地域に住み着かなくなった結果,自然がありのままの姿を取り戻し動植物であふれるようになった」と述べているところに好感が持てる.思想が右にも左にも傾いておらずニュートラルな目線で「核」を知ることができる本.

賃貸生活 A to Z

賃貸生活A to Z

賃貸生活A to Z

  • 作者:秋津 智幸
  • 発売日: 2012/02/08
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)

少し古いけど賃貸への引っ越しを検討している人に是非お勧めしたい. 物件の選定から,契約,生活,退去にいたるライフサイクルにおける,生活者視点で気をつけることや知っておくべきことがコンパクトに纏まっている. 物件選定時のチェックリストや引っ越し時のToDoリストが付録についていて実用性が高い.


以上,他にもたくさん読んだけどこれくらいにしておこうと思う. 私が本を選ぶ基準はこんな感じ.こんごもゆるゆると本を読んでいく所存.

・知的好奇心が満たされそうな本

・何か一つでも実用性のあることが学べることがあるのではないかと感じた本

スーパーに陳列されてたディストピア

少し前の話.

スーパーであるお酒が目に止まった.

それはビンのお酒みたいなんだけど,A4サイズくらいの紙がビンに直接貼られている. 印刷紙であろう安っぽいその紙に,安っぽい賞状のイラストと明朝体で記された文章が印刷されている.

「何これ?作って遊ぼでゴロリが作ったおもちゃ?」みたいな見た目だ.

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作って遊ぼのイメージ

どうやら父親への感謝状のようである. 「このお酒を飲んでお仕事頑張ってください」みたいなことが書いてある. 父親というATMにアルコールという燃料を注ごうとさせているみたいだ.

父親に感謝する日がなぜか年に1回と決められていること... それが企業の販促の口実という感謝とは程遠い商業主義的な用途で利用されていること... 健康を害いかねないアルコール飲料が贈呈されること... そんなアルコールが父親にとっての楽しみだとプレゼントを送る人から見られていること...

これを考えついて,実行した人,お酒の瓶の周囲に安っぽい紙を巻きつけてセロテープで固定する仕事をした人はどれだけ無表情だったんだろうかと想像してしまう. 多分自分が父親だったらこんなものを贈呈された日には行動のあまりの表面的さに卒倒してしまうと思う.

ちなみにそのお酒は700円くらいの安ウイスキーだった.

会社の飲み会が辛過ぎて虚無.会社への信仰,虚構.

会社でオンライン飲み会をしたんだけど,これがまあ非常にしんどい.オンライン関係なく,そもそも会社の人間との飲み会があまりにしんどい. お酒に強いかどうか,といった表面的な合う合わないではなく,サラリーマンに対するスタンスや他者への興味といった根本的なところからズレを感じる.相手はWindows10を使っているのに自分はiOSを使っているような,そもそもOSレベルで違ってて話にならないとまで感じる.

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会社の飲み会は苦行であり文化体験でもある.

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次は人間の番?

www3.nhk.or.jp

古代の人間(ホモ・サピエンス)は狩猟採取生活を営む過程で多くの大型動物を狩り尽くしてしまったと考えられている.

いつか,狩られる方が人間になる日がくるかもしれない.

小さな生き物の大きな脅威

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「分かりやすい」という罠.「分からない」ことの魅力.

先を越されたなあと思った.

○○党,ストロング系チューハイ,石鹸系

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どうぶつの森の「カブ」取引は「トウキ」取引の方が良かったんじゃないだろうか.

「あつまれ どうぶつの森」ではゲーム内の通貨を稼ぐ手段として「カブ」を売買するシステムがある. 文字通り野菜である「カブ」を一定の値段で購入しておき,時間の経過とともに変動する価格を見ながら購入した株を売り払うというシステムだ.

例えばこのカブを1つ100ベル(ゲーム内の通貨単位)で購入し,その後一つ150ベルに価格が上昇した時に売却をすることで1カブあたり50ベルの儲け,反対に1つ50ベルに価格が下落した時に売却をしてしまうと1カブあたり50ベルの損失が発生する.

これはまさに現実世界の株式の短期売買を彷彿とさせる. しかし,個人的にはカブじゃなくてトウキの売買でも良かったんじゃないかなと思う.

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Bijay chaurasia / CC BY-SA

投資と投機

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