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次は人間の番?

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古代の人間(ホモ・サピエンス)は狩猟採取生活を営む過程で多くの大型動物を狩り尽くしてしまったと考えられている.

いつか,狩られる方が人間になる日がくるかもしれない.

小さな生き物の大きな脅威

ヒアリは,ここ数年で日本への上陸が確認され話題になった外来生物で,人の死に至らしめることもある強力な毒を持つことが知られている. 冒頭のリンクにもある通り,ヒアリが発見されるとニュースとして報道され,国や自治体による環境保全対応措置が取られている. もしこの水際での防御に失敗して,ヒアリの分布が日本中に広がったら,従来の生態系に大きな混乱をもたらすことになるだろう. 小さな生き物の大きな脅威は馬鹿にできない.

2019年年末から現在にかけて世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスについても同じだ. ウイルスが生物であるかどうかという議論を無視して,コロナウイルスは生物であるという前提に立てば 世界で一番人間社会に脅威をもたらしている極小の生物と言える.

ja.wikipedia.org

昔は人間も狩る側だった.

サピエンス全史によると,古代の人間(ホモ・サピエンス)による狩猟採取と生活圏拡大が,大型生物の絶滅を招いた様子が描かれている.

大型の動物は一般的には寿命が長く,小さな生物に比べ一個体の生命力も高い.しかし,世代交代のインターバルが長くなってしまうので,進化による環境の適用には時間がかかる. そして何より,肉付きのいい大きな巨体は人間の格好の的になる.

陸の向こう,海の向こうから人間という動物がやってきた.人間は,火や石器,木器を駆使し,動物本来の身体能力を大きく上回る能力を発揮し,さらに徒党を組んで大型動物たちを襲う. そうして大型動物は人間という危険な動物が闊歩する環境に適応する前に狩尽くされ食べ尽くされてしまった.

人間の活動が地球規模で環境に影響を与えるようになり,他の動物は直接的,間接的にその影響を受けている. 現存する大型動物へのダメージは甚大だ.サイやゾウといった大型動物が人間の利己的な理由で狩りの対象とされ絶滅に瀕したというドキュメンタリーには事欠かない時代になっている. また,陸だけでなく海の大型動物,クジラも,人間の捕鯨活動や海洋汚染,気候変動等の影響を受けている.

小さな鳥やネズミ,川魚等は人間が作り出した都市という環境でも息抜けるスペックを有するが,大型動物はそうはいかない.ゾウがマンホールの隙間から下水道に逃げ込んだり,クジラが人工的に作られた河川を住処にしたりすることはできない.

いつか地球上には人間よりも大きい生物がいなくなってしまう日が来るのかもしれない.水族館や動物園を除いて.

牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って

牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って

次は人間の番かもしれない.

ヒアリコロナウイルス,そのほかの例ではマダニといった,極小の生物が人間の社会に大きな脅威をもたらしている.この様子を見ると, いつか人間が狩られる側になるときがくるかもと考えてもおかしくない.

なぜならそれは,太古から現代に至るまでに人間が証明してきた歴史を繰り返すだけだから.